
こんにちは。かんきっくです。
めっきり涼しくなってきました。今年もあと4か月?時の過ぎ去る早さに愕然としますね。
僕の住んでいる地方はここ最近なんだか雨が多くて憂鬱です。皆様もぜひご自愛ください。
さて。今回はずーっと前に気まぐれにやった漫画レビューの2本目です。
取り上げる作品は現在アニメが絶賛放送中の「鉄鍋のジャン」になります。
正直レビューするにはあまりにも有名作品というか、俗っぽい言い方をするなら手垢まみれではあるのですが、アニメを3話読んだ時点であまりに面白かったので書いてみることに。
結論から言うとこの漫画、料理描写はさることながら、主人公のジャンやヒロインのキリコなどの人間がほぼブレなく、魅力的過ぎて面白い。料理も人間も魅力的すぎる。
この漫画は「料理は勝負である」を信条にしている主人公、秋山ジャンの繰り広げる料理バトルを描いた作品なのですが、まーもうとにかくやりたい放題なんですね。
どうやりたい放題なのかというと

料理に幻覚みせるキノコを調合して審査員に食わせたり
わざとバ火力でスプリンクラーを作動させて他の出場者の料理をダメにしたり。
ちなみにこれ悪役がやってるわけじゃなくて、主人公のジャンがやってます。

この悪人面してるのが主人公のジャン。
上記の通り、彼は料理は勝負であると豪語し憚らないのですが、ここでいう彼の「勝負」とは別に味で叩き伏せるだけのことを指さず、要は勝負形式に則ればなにしたって勝てばいい、というとんでもない勝負哲学を持っており、「勝ち」をさらうためならばほんとになんでもします。この二つ以外にもわる~い顔して色々やるのです。
秋山ジャンという男の魅力
この通り、秋山ジャンという男は、いくら破天荒な作品の多かったチャンピオン掲載作品とはいえ、曲がりなりにも少年誌掲載作品の主人公とは思えない言動や行動が多く、もはやダークヒーローともいえないような、なんなら主人公というだけで立派なヒールであるのですが、彼がこうなってしまったのには理由があります。

全部このジジイが悪い。
これ、一体どういうことなのかというとですね、このとんでもない虐待を行っているハゲは「秋山階一郎」というジャンの祖父なのですが、これがまーなんというか中華料理に対して並々ならぬ情熱を持った人物で、幼き日のジャンに中華料理のなんたるかを叩き込んでいました。(読んでるとジャンに対してそこまで愛情があるのかは読み取れないのがまたアレなんですが…)

まあこんな感じでジャンは特に本人からしたら理由もなく秋山の料理を身に着けることになります。
後に親友キャラの小此木という男から「なぜ料理人になったのか?」と問われた際も「気づいたらなってた、中華の頂点を極めるのが俺とジジイの執念である」と答えている。
しかもこれ、なんとなく読み取れてしまうことなんですが、このジジイは割と「料理は勝負、勝てさえすればいい」とは考えていないようで、ただとにかく料理人としての腕を磨くことに焦点をあて、盟友であり最大のライバルの五番町睦十との勝負だけにはこだわっていたような節がありますが、ジャンはどうなのかというと、ただとにかく料理を叩き込まれており、だれにふるまうでもなく、というか何のために作ってるかもよくわかってなかったんじゃないかなーと思います。
極限状態のマイクロマネジメントによって文字通り料理マシーンのようになっていて、秋山の料理が全てなんでしょうね。
![鉄鍋のジャン!(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ (7/8) - RENOTE [リノート]](https://renote.net/files/blobs/proxy/eyJfcmFpbHMiOnsiZGF0YSI6ODYyMDkyNywicHVyIjoiYmxvYl9pZCJ9fQ==--d3a1ad5272f687dcbda052a191fc03caedc1692d/makeinu.png)
しかもそんなジジイが味がわからなくなって焼身自殺して自らのライバルとの決着を押し付けられて…。このジャンの「負け犬」というセリフにはいろいろグッとくるものがありますね。ジャンが決定的にゆがんだのはこれが原因だったのでしょう。負けたら死ぬしかないみたいな。だからこそあんな何でもありのやべーやつになっちゃった。だって負けたら死ぬんだもん。
かくしてジャンはジジイに叩き込まれた秋山の魔法とそのすさまじいまでの勝負哲学で相手をばっさばっさと倒していくのですが、このジャンという男は決して無敵として描かれてはおらず、やはり何度かは敗れてしまいます。

その中でもやはりこの刀削麺作って負けた回は決定的に、ジャンという男のアイデンティティにも関わってくるような敗北でした。
要は「秋山の技術のみでは勝てない」ような相手が現れたわけです。

その相手の一人が今作の戦うヒロイン五番町キリコなのですが、彼女の信条は「料理は心」。ジャンよりもよっぽど主人公のような思想で、勝負のためなどには鍋を振るわず、食べてくれる人のために料理をする女の子です。
そんな彼女に一度敗れたジャン。
もうね、流れ的にはジジイの呪縛から解き放たれて、ついにジャンも料理のなんたるかに目覚め、世のため人のために料理を作る、そんなことに気づく流れのはずなんですよ。

怖すぎだろ(笑)
そう、ここでブレないのがジャンの最大の魅力なんです。
すべての者にこびず、己の意志を貫く。どうみてもゆがんでいるのですが、これはこれで彼なりに料理というものに向き合っているわけです。
この敗北のあとのジャンはねえ。


かっこよくない?
一度ぼこぼこにやられても、ジャンは秋山の料理のすさまじさを証明するために、己を奮い立たせるのです。
なんつーか、絶対人として間違ってるし、読んでて「どうしてあんたはそうなの」とか思っちゃうんだけど、これがジャンにとっての料理への向き合い方であって誇りなんでしょうね。これこそがジャンの全てであって、他にはもはや何もないのだろうか。
ジジイからのベクトルはどうだか知らないけど、ジャンからのベクトルはかなり重かったのかもですね、愛情の。父親と母親の話、出てこなかった気がするけど、まあたった一人の親的な存在だもんね。
にしても、オリジナリティのなさを批判された次の試合で持ってきた料理が血の料理って。悪魔かおのれは。
以降、ジャンは何にぶち当たってもやはり自分のスタンスは崩すことはありませんでした。
正直このジャンってキャラは作中で成長したか?というと、なんとも言えないんですけど、一度決定的な挫折を食らって色々試してみる、ってこともなく自分の原点+オリジナリティを持って他には迎合しない、ってのもまあなんか、帝王学とはちょっとちがうけどひとかどの王のようななにかすさまじい迫力を感じます。
いいキャラだよねえ。秋山ジャン。
ジャンと最後まで向き合った五番町キリコ
かたくなに自身のスタイルを変えなかったジャン。
僕は読んでて彼はやはりそれでもどこか遠くない未来で挫折する羽目になるんじゃないかなあ、という気持ちが強くなっていったのですが、この作品、ジャン以外も大概な悪人ばかりなので、彼にまともなことを言ってあげる人はなんとほぼいません。
本当にあるのは勝者と敗者の存在のみ。そんなとんでもない作品の中でも、作中最後までジャンにモラルや思いやりのようなことを説いた人物がいました。
それが先程少しだけ触れた五番町キリコです。

彼女の信条は先述の通り「料理は心」。
対戦相手をぶっとばすことしか考えていないジャンとは正反対の考えをもった子なのですが、やはりどこかジャンを料理人として認めている面もあるようで、さらに根っこのところで通じているような部分がありそうな描写が多いです。
そんな彼女は、作中最初から最後までこのジャンと戦い抜いた猛者で、またぶつかりあってきた人物でした。
ジャンもそんな彼女をやはりどこか認めているようで、彼女の実力を素直に褒める場面も多かった。




この二人の関係性を良く表していたのが、先述のジャンが料理に毒キノコまぜたときのエピソードのこれ。
キリコはジャンに鉄拳を見舞うわけですが、ここのジャンの態度がなんかいいんですよねえ。思うところありそうというか。
この女も本気なんだなということを感じ取ってるというか。この前からキリコの実力自体は認めている描写はありましたが、本格的に競争相手として認めたのはここからなような気がします。

この次の試合はきっちり「中華の神髄」を見せつけて勝ってるしね。


その後もやはり衝突することばかりなのですが、作中通してジャンの信条に真っ向からぶつかっていったのはキリコだけだった。というかほかの対戦相手はみんな負けてそれっきりだもんね。
実力も相まって、キリコが最大のライバルだったといえます。
まさに競争。切磋琢磨。簡単には迎合しない。
なんかねえ。尊いのよこの二人。俺ちょっと観ててずっときゅんきゅんしてた。変な話ですよね。でもしちゃうんです。
この作品で「人間性」などを見たときに、キリコの存在の有無でジャンの深みは全然変わってたと思う。絶妙なキャラでした。

…かわいいしね。うん。
またキリコの前だと心なしかジャンが少しうれしそうなのが良い。
そらね、あんな生活してたのに、同年代の自分と同じくらい料理できる子がいたらうれしいよね。
ジャンの今後の人生において、キリコの存在はきっととんでもなく大きくなるんだろうなあ。
このほかにもジャンが唯一心を開ける小此木とかメインヒロイン大谷日道とかいろいろ魅力的なキャラがいるので、是非読んでみてください。


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